「ショーシャンクの空に」を観劇2015-02-10




福岡シティ劇場で「ショーシャンクの空に」を観劇した。車いすのため特別に席を作ってもらった。

「ショーシャンクの空に」は20年ほど前に映画館で見たのだが、DVDを何枚か購 入し友達に配ったほど感動した作品だ。今でも年に一度はDVDを見るのだが、何回見ても感動は薄れない。

今回はロンドン版の 芝居ということで興味津々であった。特に嵐の夜の脱獄シーンがどう表現されるのか。そして映画史に残る名場面だと思うのだが、あのラストシーンがどう表現されるかが気になるところであった。脱獄したアンディーが 太平洋を望むメキシコの砂浜の海岸でボートを洗っている、そこに刑務所を仮釈放されたレッドが現れ再会するというあのラストシーンだ。

今回の芝居では残念ながら二つのシーンとも省略されていた。脱獄シーンは舞台の設定上難しかったのだろう、レッドの台詞で間に合わせていた。ラストシーンはストーリーに関係がないということだろうか全くなかった。

気になったので原作の小説を読んでみた。小説は「刑務所のリタ・ヘイワース」となっている。映画のラストシーンはなく、ただ次のように書いてある。


どうかアンディーがあそこにいますように。
どうかうまく国境を越えられますように。
どうか親友と再会して、やつと握手ができますように。
どうか太平洋が夢の中とおなじような濃いブルーでありますように。
それがおれの希望だ。


芝居には芝居の良さが、小説には小説の良さがある。それを超えて映画に感動したのは、このラストシーンのためであると思うに至った。一般論で言えば、現在=過去+未来 であろう。アンディーとレッドの再会を未来に延ばすのではなく、ラストシーンで現に再会させた。そうすることによって次の未来の物語を彷彿とさせた。アンディーと レッドがメキシコの海岸で小さなホテルを経営しながら、静かに時間を過ごすという次の物語を。

そのメキシコの海岸の町は、舌をかみそうな名前であるがシワタネホという。このシワタネホのブルーの空と海は、過去と 未来が凝縮した何度でも見たい名場面である。

同じ作家(スティーヴン・キング)の映画で、「グリーンマイル」「スタンド・バイ・ミー」も見た。共に秀作である。

指は動かなくても、パソコンは動かせる。2015-02-23

槍・南岳より北穂高岳を望む  山小屋の灯が山頂近くに見える  (2004.8.28  脊髄損障前)
(写真の説明) 
槍・南岳より北穂高岳を望む 山小屋の灯が山頂近くに見える
2004.8.28(脊髄損傷前)



私は脊髄損傷で指が動かない。しかしパソコンを操作し楽しんでいる。どのようにしてパソコンを操作しているのか、わたくし流のやり方を<音声入力> <トラックボール> <本を読む>の三つに分けて紹介する。特別のノウハウがあるわけではない。おそらく誰でもやっている普通のやり方であると思う。

<音声入力>

私はウインドウズ8.1を使っているので、それを前提に話をする。コントロールパネル →音声認識 で音声認識の画面を開く。あとは画面にしたがって練習すると、1~2時間ぐらいで音声入力ができるようになる。マイクが必要なので、私はネットでヘッドセットマイクを \1400で購入した。音声入力のコマンドはたくさん知っていればそれに越したことはないが、私はあまり知らない。「聞き取り開始」「スタート」「番号表示」「(例えば) 3 OK」「キャンセル」「右クリック」「下へスクロール」「閉じる」程度のコマンドでほぼこと足りている。

脊髄損傷者は肺活量が少ないので、発声練習をする必要がある。

さてそれで音声入力でパソコンがうまく操作できるかというとそうではない。パソコンの音声の聞き取りの性能が低く、こちらは明瞭に発音しているつもりなのだが「何ですか?」と尋ねてくる。またメールなどで文字入力をする場合うまく変換してくれない。間違って変換した場合それを取り消して、また音声入力をする。その繰り返しなのでいい加減根負けして、音声入力をやめてしまう。

私の車椅子仲間のN君は、私より重症の脊髄損傷者で手が全く動かない。したがってパソコンの操作を音声入力で行なっていた。しかし上述のように聞き取りの性能の低さのため、音声入力で操作するのをあきらめてしまったという。

音声入力を使っているとわかるのだが、こちらの思うようにうまく反応してくれる ケースとそうでないケースがある。前者のケースに限って音声入力を使うというのが、今のところ現実的であると思う。音声入力のソフトが向上し使い勝手がよくなることを願う。

<トラックボール>

 トラックボールを操作するためには指は動かなくていいが、手をボールの上で前後左右に5~10センチ程度動かす。するとそれにつれてパソコンの画面上でカーソルが動く。お好みのアプリ(ソフト)、例えばメールソフトにカーソルを合わせクリックすればメールソフトが開く。マウスの代わりである。

私はトラックボールとは別にスイッチを用意し、そのボタンを押すことでクリックしている。左手でトラックボールを動かし、右手でスイッチを押している。スイッチは右クリック用左クリック用と二つあってもよいが、私は音声入力で右クリックをしている。

もちろん指が動かないのでキーボードは使えない。スクリーンキーボードを使っている。

トラックボールとスイッチはネットで調べるといろいろあるが、指が動かない人が使えるものは種類が少なくかつ値段が高い。私が今使っているものは、トラックボールが約\60000、スイッチが一つ \5000もした。仕方なく購入したが、この値段は何とかならないものか。マウスが \1000ぐらいで購入できるのに高すぎはしないか。

<本を読む>

電子書籍が普及したので、パソコンで多くの本を読めるようになった。しかし全ての本が電子書籍になるわけではない。どうしても読みたい紙の本がある。指が動かないのでページをめくることができない。紙の本はどのようにすれば読むことができるか。

私はコピー機で本をスキャンしてもらって、パソコンに取り込んで読んでいる。コピー機の準備とスキャンする手間がかるのが難点である。一般には難しいかもしれない。。本とUSBメモリーを持ち込めば、低料金でスキャンしてくれるスキャン(コピー)センターが普及することを願う。


最後にHさんのことで一言。私がせき損センターに入院していた時、Hさんは入院して3年目だった。重症で首から下が動かない。車椅子に座れない。ベッドに24時間寝たきりという脊髄損傷者だった。広島の方なので、奥さんは病院の近くにアパートを借りてHさんのお世話をしていた。

Hさんは病床でヘッドトラッキングシステムでパソコンを動かすことをはじめた。私も練習したが、顔を動かしそれをセンサーが感知してパソコンを動かすという方式である。外から見ていると簡単なようだが、カーソルが思い通りに動かず使いこなすのは大変である。

Hさんはパソコンのネットでショッピングをした。ただそれだけのことである。それだけのことだが私は嬉しかった。